へら鹿はどこへ行く

『さよなら、愛しい人』が面白い。
チャンドラー作品は、同じく村上春樹訳の『ロング・グッドバイ』に続いての二作目だったので、探偵フィリップ・マーロウのキャラも事前知識として理解できていて、そうなるともう登場シーンから早くも胸が高鳴ってくる。ロング~のどこか憎めない独特の魅力を持ったテリー・レノックスとは対照的な、バキにでも出てきそうなド派手な大男ムース・マロイの血みどろの大立ち回りから発展する事件と、それとは一見関係が無さそうな奇妙な依頼と殺人事件が、これからどうつながっていくのかがすごく楽しみだ。
それにしてもチャンドラーってすごい人だなぁ。構成、会話、比喩どれをとっても一級品で、ハードボイルドというひとつのジャンルにおいて秀でた作家ではなく、比類なき作家がたまたま選んだジャンルがハードボイルドだったというべきだろう、と、読めば読むほど畏敬の念は深まっていく。ヘミングウェイやフローベールの作品に触れた時に得た感覚と同種のものを中核に感じた。
ジャンルの特性も手伝って、たぶん70年以上も前に書かれた物語の中で、もっとも旧弊を感じさせないもののひとつが、これらのチャンドラー作品なんじゃないだろうか。






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今日からまたクリボス通い。1日2回行くことにしよう。





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あれ?表示がアバウトになってる・・・いつのまに・・・・・・。
by maro-chama | 2012-07-16 11:25 | UO | Comments(2)
Commented by XIII at 2012-07-18 09:43 x
(なんか改行変だったので投稿しなおし;)

こんにちは-。
”Farewell, My Lovely” 自分も大好きです。
自分の持ってる日本語訳がそうだから、なんだけどチャンドラーの文章って全てが追憶のうちに書かれてるような印象ですね・・・。
「~した、~だった、」の畳掛けが多いせいかな? 読んでいる最中はやるせない焦燥を感じます。マーロウの日常(という蜘蛛の巣)はいつも偶然の出会い(大抵は興味深い人物)によって破られる。彼はその破れ目に近づき、謎という穴を追って繕っていく。

興味深い存在って、それを思う人間のモノなんだな。読者の自分はそんな風に他人に心を惹かれてるマーロウに興味津々なわけですが。

チャンドラー、やっぱり面白いですね。また読んでみよう、と思った日記でした。好きなものがシンクロしてると嬉しいですね。
Commented by maro-chama at 2012-07-18 23:20
おおお!13さんもお好きなんだ~、いやー嬉しいです!

うんうん、ほんとそんな感じですよね。まさに繕うって表現がぴったりだなぁ。そしてたぶんそこがチャンドラー作品の一番魅力的な要素な気がします。一連の事件も机に座っての推理じゃなく、実際に飛び込んで、失われた部分を探しだすことで解決へ向かってるし。マーロウって、不思議なところは多いのにしっかりと筋が通ってて、ほんと稀有な存在だと思います。皮肉ばっかりで一見人嫌いっぽいのに、興味を感じた人や出来事には看過せずにどんどん近寄っていって、それで痛い目にも遭いまくってるしw

「~した、~だった、」は顕著ですよね。実力の足りない人が同じことをするとおそらく単調になってしまうんだろうけど、チャンドラーはそれを焦燥に変えちゃうのがほんとすごい!マーロウの纏う性急さもこういうテクニックでさらに読者に伝わりやすくなってるんだろうな~。チャンドラー以降のアメリカの小説で、「~した」あるいは「~する」を連続させる手法ってよく見かけるので、もしかしたらそういう系譜があるのかもしれませんね。

ちなみに8月の頭に「リトル・シスター」って作品が新訳で文庫化されるみたいです。楽しみ!!